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最高裁判所大法廷 昭和24年(れ)1260号 判決 1949年12月21日

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人及び弁護人戸谷栄之助の上告趣意はいずれも末尾添附別紙記載のとおりであり、これに対する当裁判所の判断は次ぎの如くである。

被告人の上告趣意について。

警察署における取調が所論の如く不当であったということはこれを認むべき資料はないし、たとえそうであったとしても原審は警察における被告人その他の者の供述を証拠に採って居ないのだから判決破毀の理由とならない。その他所論は原審の採らない証拠又は認めない事実を基礎として原審の証拠の取捨判断、事実の認定を攻撃するもので上告適法の理由とならない。

弁護人戸谷栄之助の上告趣意第一点及び第二点について。

刑法第五六條第五七條の再犯加重の規定は第五六條所定の再犯者であるという事由に基いて、新に犯した罪に対する法定刑を加重し、重い刑罰を科し得べきことを是認したに過ぎないもので、前犯に対する確定判決を動かしたり、或は前犯に対し、重ねて刑罰を科する趣旨のものではないから所論憲法第三條の規定に反するものではない。從って右刑法の規定が違憲であることを前提とする論旨はいずれも理由がない。

同第三点は原審の証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに過ぎないもので上告適法の理由とならない。

よって上告を理由なしとし旧刑訴法第四四六條に從って主文の如く判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上 登 裁判官 栗山 茂 裁判官 真野 毅 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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